2025年度「ジャクソン研究所への研究留学プログラム」を実施しました
2025年8月~9月の2か月間にわたり、本学の研究医養成コースに所属する医学部医学科第3・4学年の学生2名がアメリカ合衆国のジャクソン研究所へ留学し、“Visiting Scientist Program at The Jackson Laboratory for Mammalian Genetics”に参加しました。
【研究留学プログラムの概要】
ジャクソン研究所は、1929年にアメリカ合衆国メイン州バーハーバーに非営利団体として設立され、「病気に対して正確な遺伝学的ソリューションを見出し、人の健康を改善するという共通の探求において、世界の生物医学コミュニティに力を与えること」を使命に、遺伝学とゲノミクスの基礎研究分野で世界をリードしています。その一環として、世界中の研究者に14,000系統以上のマウスを提供しています。また、老化、がん、神経科学、希少疾患などの幅広い領域で、基礎、橋渡し、前臨床の学際的研究を実施するほか、遺伝学教育部門で次世代のバイオメディカルリーダーを育成しています。
このたび、同部門との連携により、本学においてジャクソン研究所の選考基準に基づいた選抜が行われ、合格した2名が、約2か月間同研究所で研究に参画し指導を受ける機会を得ました。
【参加者の声 ➀ 竹村 舞織(病理学講座(人体病理学部門))(医学部医学科第3学年(当時))】
研究は、私にとって最も関心があり、将来も継続して取り組んでいきたい重要な分野です。研究に興味を持ち、1年次から研究活動ができる滋賀医科大学に入学し、病理学講座に所属する中で、その思いは一層強まりました。今回、Jackson研究所において網膜疾患の研究を行うPatsy Nishina教授のもと、2か月間に渡り2つのプロジェクトに参加する機会を得ました。
本プログラムを通じて得た学びは、大きく3つあります。
第一に、研究計画の立案から実験の遂行、結果の解析・考察に至る一連の流れを主体的に学べたことです。Jackson研究所ではテーマが与えられた後、自ら考え行動することが求められました。初めて取り組むマウスを用いた実験には苦戦しましたが、試行錯誤を重ねる中で徐々に理解を深めることができました。また、結果をミクロ的だけでなくマクロ的視点から捉える重要性を、教授や研究員の方々との議論を通して学びました。
第二に、英語によるコミュニケーション能力の向上です。英語での会話に不安がありましたが、事前に話したい内容を整理し、疑問点はその都度質問するなど、理解を深める工夫を重ねました。言語の壁に直面する場面も多くありましたが、諦めずに努力を続ける姿勢の大切さを学びました。
第三に、マウスモデルを用いた研究の意義を実感したことです。複数のマウス系統を比較することで、ヒト疾患の多様な側面を再現できることを体験し、世界有数のマウスリソースを有するJackson研究所ならではの研究環境の重要性を理解しました。
この貴重な経験を通じて、研究の専門知識や技術だけでなく、多角的な視野と新たな発見を得ることができました。今後、医師として臨床に携わる際にも研究を継続し、医学の発展に貢献したいと強く感じています。本プログラムを企画いただいた景山先生をはじめ、日頃よりご指導・ご支援くださった研究室の先生方、Jackson研究所の皆様に感謝いたします。最後に、渡航に際して助成していただきました滋賀医学国際協力会の皆様に心より感謝申し上げます。
【参加者の声 ②金﨑 文香(生化学・分子生物学講座(分子病態生化学部門))(医学部医学科第4学年(当時))】
私はジャクソン研究所でRafiou Agoro教授のもと、腎臓の酸化ストレスに関する研究に2か月間従事しました。ジャクソン研究所は実験設備や教育体制が非常に充実しており、その恵まれた環境を、最初の2週間のオリエンテーションからすぐに実感しました。特に当研究所の特色でもあるマウスについては、少人数で基本から丁寧に指導を受け、正確な手技と動物を大切に扱う姿勢の重要性を学びました。
ラボでのプロジェクトは3週目から始まり、最初に実験計画を研究室内で発表しました。慣れない英語での発表に苦労しましたが、準備や質疑応答を通して深めた理解が、その後の実験計画や調整を進めるうえでの指針となり、背景や目的を明確にすることの大切さを実感しました。研究期間中は、教授が毎朝個人ミーティングを行ってくださり、前日の結果や次の方針について助言をいただきました。結果が出ず焦っていた時期に、「科学は時間がかかるが、忍耐強く続ければ必ず結果は出る」と励まされたことが特に印象に残っています。試行錯誤を重ね、終盤に結果を得られた際に、あらためてこの言葉をいただき、粘り強く続ける難しさと達成感を同時に感じました。
また、研究室の方々も常に協力的で、質問や提案に対して喜んで丁寧に指導してくださいました。自ら調べ、挑戦するたびに新たな学びの機会が広がり、能動的に学ぶことの大切さを実感しました。
2か月間、結果を出す難しさに悔しさを感じることもありましたが、結果をもとに課題を見つける面白さを再確認することができました。この留学で得た経験を糧に、今後の学習により一層励んでまいります。最後になりましたが、本プログラムを企画してくださった景山先生、現地で手厚くご支援くださった石村先生、Agoro’s labをはじめとするJAXの皆様、そして渡航に当たり温かいご助成を賜りました滋賀医科大学国際協力会の皆様に心より御礼申し上げます。