2024年度「ジャクソン研究所への研究留学プログラム」を実施しました
2024年7月~8月の2か月間にわたり、本学の研究医養成コースに所属する医学部医学科第4学年学生2名が「ジャクソン研究所への研究留学プログラム」へ参加しました。
【研究留学プログラムの概要】
ジャクソン研究所は、1929年にアメリカ合衆国メイン州バーハーバーに非営利団体として設立され、「病気に対して正確な遺伝学的ソリューションを見出し、人の健康を改善するという共通の探求において、世界の生物医学コミュニティに力を与えること」を使命に、遺伝学とゲノミクスの基礎研究分野で世界をリードしています。その一環として、世界中の研究者に14,000系統以上のマウスを提供しています。また、老化、がん、神経科学、希少疾患などの幅広い領域で、基礎、橋渡し、前臨床の学際的研究を実施するほか、遺伝学教育部門で次世代のバイオメディカルリーダーを育成しています。
本留学プログラムは、ジャクソン研究所で研究経験のある本学研究医養成コース2021年度修了学生の仲介により企画され、同部門との連携のもと、2年間のパイロットプログラムとして2023年から開始されました。
参加した2名の学生は、ジャクソン研究所の選考基準に基づき選抜され、同研究所の教員の指導を受けながら、約2か月間、特定の研究プロジェクトに参画しました。
【参加者の声 ➀ 高橋 諒多(病理学講座(疾患制御病態学部門))(医学部医学科第4学年(当時))】
私は2024年の夏にJackson Laboratoryの研究プログラムに参加し、Hematopoietic Stem and Progenitor Cells (HSPC) Mobilizationに関する研究を行いました。
Jackson Laboratoryはアメリカ合衆国のメイン州にあり、Bar Harborの近くにある研究所です。その研究所はマウス開発で有名な研究所で、私はそこに2か月間Visiting Studentとして研究室のProjectに参加しました。初期の頃はすべて英語で意思疎通をしなければならないということもあり不安を抱えていましたが、研究室の方々は大変親切に接してくださり、大変有意義な時間を過ごすことができました。また生活面に関しても、研究室に所属している日本人PIの方々のおかげで、不自由なく過ごすことができました。
私の所属していた研究室では、HSPCに関する研究をメインに行なっていました。この研究室で私に与えられたProjectは、HSPC Mobilizationの変異体マウスでの動態解析です。具体的には、変異体マウスにG-CSFを投与した際の、HSPCが骨髄から末梢血への移行する分子学的仕組みの解析を行いました。このProject自体は私自身が提案、計画作成、発注等、すべて一から組み立てたものであったので、準備はかなり大変でしたが、この機会で研究力を大きく向上させることができました。また、マウスの取り扱いに関しても大変多くの機会を提供してくださり、この研究室生活で様々な経験ができました。
また、生活面に関しても、現地の方の生活様式など様々なことを学ぶことができました。アメリカ合衆国は多民族の国であり、様々なルーツを持つ人々が共に生活しているにも関わらず、その誰しもが自由に主張できる雰囲気であり、私はその自由気ままな雰囲気にとても惹かれました。現地の方は大変親切で、困ったことがあれば常に相談に乗ってくれたり、手伝ってくれたりと、その人柄の良さをすごく実感することができました。
そして今回の留学を機に、私は医学研究者を本格的に目指そうと考えることができ、また将来的に米国で働くことも視野に入れることができたので、この留学は私にとって本当に素晴らしい機会だったと実感しています。この機会を活かして、今後も経験を積み重ねていき、医学研究者へのキャリアを築いていきたいと思います。
【参加者の声 ② 辻川 碧乙(病理学講座(人体病理学部門))(医学部医学科第4学年(当時))】
私は1年次より研究を始め、現在は病理学講座人体病理学部門に所属し、胃がん印環細胞に関する研究を行っております。
以前より留学したいと考えていた私にとって、最先端の研究施設であるジャクソン研究所へ2か月間留学できるというプログラムは非常に魅力的でした。すぐに応募することを決め、学会や学内での発表など研究活動に一層力を入れ、準備に励みました。
本留学では、Ewelina Bolcun-Filas先生の下で、がん治療後の卵母細胞の維持について研究しました。日頃、がん研究に従事するなかで、がん治療後の晩期合併症の克服に興味を持っていたことと、Ewelina Bolcun-Filas先生の研究内容が非常に画期的であると感じたことから、配属を希望しました。
ラボでは、メインプロジェクトに留まらず、複数のプロジェクトに従事しました。Ewelina先生はプロジェクトの進め方から、実験手技やプレゼンテーションの準備まで丁寧に教授してくださいました。また、いつでも質問に来ていいと言ってくださり、先生とのミーティングでは、研究内容への理解を深めると同時に、さらに興味を広げることができました。先生のおかげで、2か月間という短期間でしたが、科学への関心を深め、研究の基礎を身につけることができました。
また今回の留学では、研究面だけではなく、国際性を持った医師になりたいという新たな目標を見つけることができました。多様な文化を持ち、最先端の科学に携わる方々と交流するなかで、国際性を持つことで世界が広がることを実感しました。また、その必要性も強く認識しました。 今回の留学は、私にとってかけがえのない貴重な経験となりました。今後、この素晴らしいプログラムが、本学の学生の国際化を推進することを願っております。また、私も微力ながらお役に立つことができれば幸いです。
最後となりましたが、Ewelina Bolcun-Filas先生をはじめとするJackson Laboratoryの皆様、プログラムを企画して下さった景山先生、所属講座の先生方、現地で大変お世話になった日本人メンバーの方々にこの場を借りて御礼申し上げます。