研究医養成コース修了式を実施しました
2022年3月10日(木)に「滋賀医科大学 研究医養成コース修了式」を挙行し、以下の4名の学生が修了証書を授与されました。
- 医学科 第6学年 福永 諒 (生理学講座〈細胞生理学〉)
- 医学科 第6学年 緒方 綾子 (病理学講座〈疾患制御病態学〉)
- 医学科 第6学年 景山 裕介 (神経難病研究センター〈神経診断治療学〉)
- 医学科 第6学年 鴻上 奈央 (生化学・分子生物学講座〈分子病態生化学〉)
研究医養成コースとは?
本学は平成23年度から研究医枠での入学定員の増員を申請、平成24年度には文部科学省GP「基礎・臨床を両輪とした医学教育改革によるグローバルな医師養成」のモデル事業へも積極的に応募し、いずれも選定されました。GP期間終了後は、大学独自の取組「研究医養成コース」として「入門研究医コース」・「登録研究医コース」を通じて科学的探究心の涵養を特に重視した教育を行ってきました。
2021年度、研究医養成コースは、学部教育部門研究医養成検討専門委員会の下、【医学・医療の発展のための医学研究の必要性を十分に理解し、批判的思考も身につけながら、学術・研究活動に関与する】ことを目的としてアウトカムを設定し、また、学部在学中に一定の要件を満たすことでアウトカムを達成したことを認定するため、「研究医養成コース」の修了証を交付することとして大幅な教育課程の改訂を行いました。
改訂後の教育課程は2022年度入学生から適応となりますが、2021年度在学生は経過措置として研究医養成検討専門委員会が適切と判断した場合に限り、研究医養成コースの修了を認定することとしています。
◆研究医養成コースの概要はHPから!
https://www.shiga-med.ac.jp/education-and-support/education/research-doctor-course
【修了生の声 ➀福永 諒】
入学して間もないころ各研究室の紹介があり、その中で自分が興味をもった研究室を訪ね、少しずつ研究に参加していきました。そして次第に具体的な研究テーマが決まり、研究医養成コースに登録しました。研究医養成コースに登録すると、研究室に自分のデスクを用意していただけたり、学会発表などで旅費の補助を出していただけたりと、厚生が充実していました。
研究室では、日々、先行研究の文献調査、実験、データの解析とまとめなどを行いました。実際に研究を始める際には、多くの初めての知識と技術が必要となりましたが、教員の皆様が丁寧に指導して下さり、経験を積んでいくことができました。実験動物の飼育から医学研究倫理まで学ぶことは幅広くありました。自分の研究時間は柔軟に変更できるので、学業との両立も心配ありませんでした。また、他機関との共同研究や学会発表などの学外活動もあり、刺激を受けました。研究は得られた成果を正確に発表することが大切です。学会発表に向けて発表資料を何度も推敲し、質疑応答に対応できるように何度も練習したことは自分の成長につながりました。
研究は成果がでないこともあります。しかし、その中でも自分が積み重ねてきたものは確かにあります。さらに積み重ねを継続していくことで目標に近づくことができると思います。六年間という長い学生生活は腰を据えて研究するのに適した環境です。また、研究室には指導教員の他にも、大学院生や留学生などが在籍しているので、様々な人と交流を図る良い機会にもなります。通常の学生生活では得られない様々な経験は、今後の人生の糧になると思います。
【修了生の声 ②緒方 綾子】
臨床と研究の両方に興味がありましたが、臨床現場で実際に働くことができるのは医師免許取得後になるのに対し、研究であれば学生のうちから取り組むことができると考え、研究医養成コースに登録しました。
編入前に獣医学を専攻しており、人と動物に共通する感染症に興味があったため、疾患制御病態学講座では高病原性鳥インフルエンザウイルスの病原性解析を行いました。ウイルスを感染させたカニクイザルの病理診断や、免疫反応の測定を行いました。また、週1回研究室で行っているエッセンシャル免疫学の輪読会に参加し、免疫学の基礎知識を学びました。
仮説を証明するために何を実験するか、結果をどう解釈するか、論文を調べたり先生方とディスカッションすることで、物事を深く考える経験ができたことが最も大きな収穫だったと思います。
臨床、研究、どの道に進む場合でも、物事を深く考えた経験は問題解決にきっと役に立つと思いますので、ぜひ研究活動に参加してみてください。
【修了生の声 ➂景山 裕介】
私が研究医養成コースに登録したきっかけは指導教員からのすすめです。2017年に学士編入する以前は、ジョンズホプキンス大学で基礎研究に従事しており、入学後もその経験を活かして遠山理事の教室で研究を行っておりました。滋賀医大では、京都大学や名古屋市立大学と連携した研究に携わることができ、実験手法も含め共同プロジェクトの構想立ち上げや進め方など、包括的な指導を遠山理事から賜りました。この4年間で研究プロジェクトをゼロから立ちあげ学術論文にまとめる経験をし、より高いレベルの人材へ成長できたと考えております。
研究医養成コース在籍中に、第19回国際神経病理学会口頭発表、滋賀医科大学学生表彰受賞3回、SUMS symposium受賞4回、日本脳科学会奨励賞受賞、原著論文2本発表、博士号取得(論文博士)等の業績を挙げることができました。医学部の学業があるなかで、このような業績を挙げることができたのも、遠山理事をはじめとする神経難病研究センターの諸先生方のご指導の賜物と存じます。この場を借りて心よりお礼申し上げます。
滋賀医大の研究に興味を持っている学生に、メッセージとして以下の言葉を贈りたいと思います。在学中は成果のことは考えず研究に取り組んでください。周りと協力しながら仕事を進める経験は何ものにも代えがたい経験になります。結果がでなくて苦しいこともありますが、仲間と一緒に乗り越えられるので頑張ってください。
【修了生の声 ➃鴻上 奈央】
私は入学直後の説明会で研究医養成コースを知りました。通常の講義を受けるだけではもったいないという気持ちと、大学院に進学したいと思いながら働いていた頃の思いがありましたので、研究医養成コースに興味を持ったのは自然なことだったように思います。前職から紆余曲折の後に医師を志すようになりましたが、入学した時点でも初期研修を控えた現在でも、臨床医学を中心に携わりたいという思いは変わっておらず、将来基礎研究に進むと決めて研究医養成コースを志願したわけではありません。しかしそれは医学部在学中に研究に関わりたいと思う気持ちと矛盾するものではないと思います。研究医養成コースというネーミングや基礎研究に進まなければいけないという重圧を感じることなく、興味を活力に変えてチャレンジして欲しいです。
以前の大学で分子生物分野を専攻していたこと、教授の講義が分かりやすく魅力的であったこと(試験は厳しいと有名ですが…)、研究室に多くの留学生が在籍していて英語を話す機会に恵まれていることから分子病態生化学教室にお世話になることにしました。興味のある研究室を複数見学させてもらうのもいいかもしれません。継続して実験に参加できる時期は週に2~5回程度放課後に数時間活動していました。部活のような感じです。海外の研究室に短期留学するのに向け実験手技のトレーニングをしていただいたこともあります。私の場合は家庭のことなどが重なり5年生以降はほとんど活動することができなかったのが心残りですが、研究室留学生と話す機会も多く学内の活動の幅は広がりました。
私は模範的な学生からはかけ離れていたもので偉そうに申すのも恥ずかしいですが、学生の皆さんにはどうか遠慮なく貪欲に学んで欲しいと思っています。研究室にお世話になるということは誰かが貴方を指導する必要がでてきます。時間も労力もただではありません。ありませんけれど、学びたいと門戸を叩く学生を拒む先生は居ませんし、その意欲を笑顔で迎えてくれることでしょう。滋賀医科大学においては学士編入を始めとした学生背景が多様であることだけ留まらず、在学中も多くの選択肢と様々な進路が開かれる母校であり続けて欲しいと心から思っております。