令和3年5月29日(土)比叡山延暦寺阿弥陀堂等において、第44回滋賀医科大学解剖体納骨慰霊法要・納骨式が執り行われました。
今回は、新型コロナウイルス感染症の拡大に配慮し参列者を制限して、ご遺族81名、しゃくなげ会役員4名、学生代表2名、教職員21名が参列しました。
また、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により法要が中止となったため、今回の法要では、2年分の68柱の御霊をお祀りしました。
はじめに、上本学長から68柱の御霊及びご遺族に対し、慰霊と感謝の意を述べるとともに、「人体の複雑な構造を正確に理解するためには書物による学習だけでは不十分であり、ご遺体を解剖させていただくことが不可欠であります。解剖学実習を通じて、学生は自らの目と手で人体の構造を細部にわたって確認することによって、人体の複雑さと精巧さを学習するとともに、内臓や血管・神経などの構造が一人一人違うということを理解いたします。近年、臨床医学において詳細な画像診断法や内視鏡手術が進歩していますが、正しい画像診断や精度の高い手術を行う上で、臓器や血管などの三次元的構造を熟知していることが必須であります。そうした臨床医学の教育においてもご遺体を解剖させていただいております。」と述べられました。
次に、学生代表の黒田知史君が「新型コロナウイルスの影響により、九月後半の二週間という限られた期間の中で行われました。例年と違い、私たちは解剖学の一通りの座学を終え、人体の全体像を理解した状態で実習に臨むことができました。しかし、いざ実習に臨むと、教科書とは違い、実際の人体は複雑に入り組み、特徴的な構造物を特定することにさえ一苦労でした。人体の奥深さに触れるとともに、座学で学んだ知識と実際の人体構造を頭の中で再構成するための大変貴重な経験となりました。 さらに、私たちは精神面でも大きな成長をさせていただきました。故人のこれまで歩んでこられた長い時の流れを感じ、私たちは言葉では言い表せない神秘に対して衝撃を受け、そして医学生としての責任の重さを感じ、覚悟を新たにしました。今後の学習や医療現場において、私たちは多くの困難に出会うことになりますが、その時はこの実習を思い出し、自らに喝を入れ、日々研鑽して参ります。」とご霊前に誓い、故人のご冥福をお祈りしました。
続いて、学長から、ご遺族代表に故人(献体者)に対する文部科学大臣の感謝状をお渡ししました。
法要後、比叡山横川の大学霊安墓地においての納骨式については、しゃくなげ会役員4名、学生代表2名、教職員13名で執り行われ、分骨いただいたご遺骨が納骨堂に安置されました。ご遺族には、後日、写真により納骨式の様子を報告させていただきました。