大変長かった夏も終わりを迎え、湖国にも秋の気配が少しずつ感じられる季節になってまいりました。
本日、ここに令和8年度第1回滋賀医科大学学位授与式を挙行できますことを、心から嬉しく思います。
このたび、大学院医学系研究科医学専攻博士課程を修了し、博士の学位を取得された15名の皆さん、論文提出と所定の審査に合格し、博士の学位を取得された4名の皆さん、同看護学専攻博士前期課程を修了し、修士の学位を取得された4名の皆さん、誠におめでとうございます。これまで数年間、様々な苦難を乗り越えながら研究を遂行し、研究成果を論文にまとめ上げられ、学位取得に至られた皆さんの並々ならぬ努力に深く敬意を表します。また、これまで皆さんを熱心に指導して来られた指導教員の皆さん、温かく支えてこられたご家族や教職員の皆さんにも、心からお慶びを申し上げます。
本日を含め、これまで滋賀医科大学から博士の学位を授与された方は1,587名、修士の学位を取得された方は323名となりました。本学で学位を取得された方々は、研究者として、あるいは指導的な医療従事者として、全国ならびに世界で幅広く活躍されています。
さて、研究を推し進めている中では、しばしば予想外の困難に遭遇し、計画通りに研究が進まないことを誰もがよく経験します。また、研究がまとまった後も、論文として国際学術誌に投稿・掲載されるまでには査読者や編集者による厳しい審査を乗り越えなければなりません。皆さんはそうした困難を乗り越え、自らの研究を完成して、今日という佳き日を迎えられました。これまでの不断の努力と研究成果に、大きな誇りを持ってください。大学院時代に培ったこの経験は、今後皆さんが歩む研究や医療の現場で、必ずや大きな支えになります。
医学専攻博士課程を修了された皆さんは、本学のディプロマ・ポリシーにある通り、専門知識や高度な研究技術、そして深い倫理観を身につけ、自立して研究を推進し世界へと発信する力を備えた方々です。最先端研究や高度医療の現場、あるいは学際・国際的な分野において、医学・医療の発展に寄与し、社会に還元する重要な役割を担う存在です。
また、看護学専攻博士前期課程を修了された皆さんも、科学的思考と高い倫理観に基づき、専門的思考とリーダーシップをもって多職種と協働しながら課題解決に取り組む能力を培ってこられました。あらゆるライフステージにある人々への健康課題に対し、新たな看護の知見や革新的な方法を創造的に開発できる、確かな実践力を備えておられます。
本学で学んだことに強い自信と誇りを持って、それぞれの道を歩んでいってください。
現在、少子高齢化の進展に加え、データサイエンスやAIの台頭により、医療現場や研究環境は大きな変革を迎えています。たとえば、生成AIの登場は便利な反面、不正確な情報の混入や誤った解釈も多く、AIを用いた偽りの参考文献作成など、研究不正のリスクも指摘されています。生成AIの問題や限界点を正しく認識し、高い倫理観を持って適切に使用することが求められています。
こうした激動の時代の中で研究に励んでこられた皆さんは、まさに変化に柔軟に対応し、新たな課題を解決していく確かな経験を積んでこられました。この経験を活かし、急速に変化する研究や医療現場において、次世代を担うリーダーとして活躍されることを期待しています。
今後も本学は、新しい時代に対応すべく、大学院教育の更なる高度化と充実を図ってまいります。皆さんにおかれましても、指導的な研究者や医療従事者として、医学・看護学の発展、そして人々の健康と福祉向上のため、それぞれの立場で存分に力を発揮し、ご活躍されることを祈念して、お祝いの言葉といたします。
令和8年10月1日
国立大学法人滋賀医科大学長 遠山 育夫