第46回滋賀医科大学解剖体納骨慰霊法要・納骨式を実施しました
令和5年5月27日(土) 比叡山延暦寺阿弥陀堂等において、ご遺族、今回ご案内したしゃくなげ会会員、御来賓および学生、教職員総勢200余名が参列し、第46回滋賀医科大学解剖体納骨慰霊法要・納骨式が執り行われました。
はじめに、上本学長から35柱の御霊及びご遺族に対し、慰霊と感謝の意を述べるとともに、「人体の複雑な構造を正確に理解するためには書物による学習だけでは不十分であり、ご遺体を解剖させていただくことが不可欠であります。解剖学実習を通じて、学生は自らの目と手で人体の構造を細部にわたって確認することによって、人体の複雑さと精巧さを学習するとともに、内臓や血管・神経などの構造が一人一人違うということを理解いたします。近年、臨床医学において詳細な画像診断法や内視鏡手術が進歩していますが、正しい画像診断や精度の高い手術を行う上で、臓器や血管などの三次元的構造を熟知していることが必須であります。そうした臨床医学の教育においてもご遺体を解剖させていただいております。」と述べられました。
次に、学生代表の長門鈴さんが「ご遺体を初めて目の前にしたとき、私の知識がいかに浅はかなものであったかを思い知り、頼りの解剖書を熟読し手順を何度も予習して臨んでも、実際は想像していた解剖とはかけ離れたもので、休憩時間に解剖書を読み返しては首をかしげる日々でした。また、臨床に携わる先生方から「教科書に載っているような知識も大事だが、目の前の患者さん自身の背景や訴えに耳を傾けるべきだ」という言葉を何度も耳にしましたが、この解剖実習を通して、そのような臨床において必要とされる姿勢を故人に学ばせていただいたと感じています。ご献体くださった故人を想うこのような機会を通して、私たちは医学生として忘れてはいけない心構えを胸に刻むことができました。故人は最大の師であり、解剖学に限らず医療人としての私たちを常に導いてくださる存在だと思います。故人の皆様の崇高な御意思に応えるべく、医学の知識と確固たる倫理観を以って、医学や人の幸せに貢献できる医療人になれるよう精進いたします。」とご霊前に誓い、故人のご冥福をお祈りしました。
続いて、学長から、ご遺族代表のおひとりに故人(献体者)に対する文部科学大臣の感謝状をお渡しし、その後、担当の学生からご遺族代表に対し返骨が行われました。
法要後、比叡山横川の大学霊安墓地においての納骨式については、しゃくなげ会役員、学生および教職員で執り行われ、分骨いただいたご遺骨が納骨堂に安置されました。