課題 『認知症のMR画像診断薬、体外診断法および治療薬の開発』

滋賀医科大学発の化合物Shiga-Y(日本、米国特許取得)、Shiga-X(出願中)を用いて、MR画像によるアルツハイマー病画像診断薬や治療薬の開発、および簡便で安全・安価な体外診断法の開発を進めています。

アルツハイマー病モデルマウスを用いたShiga-Y5とShiga-X22による老人斑の画像化試験:H-MRIは脳の構造をみるプロトンMR画像、F-MRIは老人斑をみるフッ素MR画像。F-MRIで老人斑を示す黄ー赤色の画像が得られる。(神経難病研究センター神経診断治療学部門

課題 『アルツハイマー病の発症要因に関わる分子の解明と予防的治療法の開発』

アルツハイマー病の分子病態を引き起こすアミロイドβの脳内蓄積に対し、そのリスク因子を同定することから、病態初期におけるリスク診断と予防的治療を可能にすることを目指しています。これまでに、アミロイドβの産生を減少させ脳内蓄積を抑制する分子としてILEIを同定しました。ILEIは健常脳においてアミロイドβ蓄積を抑制していますが、老化とともに減少し、アルツハイマー病では顕著に発現が低下することから、この分子の働きを促進させることが本症の予防的治療に有効であると期待されます。(神経難病研究センター分子神経病理学部門

課題 『精神・神経疾患モデル作製とエピゲノム解析』

精神疾患や神経疾患には、病態解明や新規治療法の開発が進んでいない難病が多く含まれます。その理由の1つとして、モデル動物として多用されるげっ歯類では、ヒトの精神機能や高次脳機能を充分に再現できないという問題があります。私たちは、霊長類を用いた疾患モデルを作製することでこの問題を回避し、エピゲノム解析などを駆使した病態解明を行っています。具体的には、精神疾患としては気分障害、神経疾患としては筋萎縮性側索硬化症(ALS)をターゲットとした研究を進めています。(統合臓器生理学

課題 『遺伝子改変カニクイザルによるモデル開発と前臨床試験への応用』

これまでに、「カニクイザル遺伝子組換え技術の確立」を行い、GFPカニクイザル産出に世界で初めて成功しました。現在、同じ手法を用いて、変異型APP過剰発現トランスジェニックカニクイザルを作出中であり、順調に進行しています。今後、コロニーの確立と画像解析などに供される予定です。(動物生命科学研究センター