コンプライアンスの推進について

本学の使命は人材を育成し、教育・研究・診療により、地域はもとより世界の医療福祉の向上に貢献することであります。とくに、人材育成を担う大学においては、倫理観を備えることは大切であり、構成員全員が法令や社会的規範、企業倫理を遵守(コンプライアンス)することは基本であります。

本学では、コンプライアンスの推進について、全教職員が誓約書に署名し、業務を遂行するにあたり、規則等を理解し、高い倫理観に基づきこれを遵守する旨、また、職務の遂行において正しい選択と透明な処理を行い、不正使用を行わない旨誓約しております。

さらに、研修会や幹部職員参加によるグループワークの実施や、各人から不正経理を生みやすいと考えられる日常業務の盲点についても調査するとともに、監査室の機能の充実を行いました。また、コンプライアンス体制を構築するために、コンプライアンスを持続的また能動的に企画・推進する組織として「コンプライアンス委員会」を設置し、常にコンプライアンスの推進に関する意識啓発を行います。

<コンプライアンス委員会委員長 上本 伸二>

滋賀医科大学役職員行動規範

滋賀医科大学は、その社会的使命と業務の公共性から、高い倫理性に基づいて、厳格に法令等を遵守するとともに、健全で公正な大学運営を求められています。その要請に応えるために、本学の理念と目標のもと、「滋賀医科大学役職員行動規範」を定め、役職員が不断の実践に努めています。

令和5(2023)年度コンプライアンスプログラム(行動計画)

第4期中期目標計画における「コンプライアンスに関する計画」の実行に向けて、令和5(2023)年度は以下の取組を計画しています。

(1)研究不正・研究費不正の根絶

 研究不正・研究費不正の根絶に向け、研究公正委員会を中心にコンプライアンス教育や研究倫理教育を行うとともに、研究活動不正防止計画及び公的研究費不正使用防止計画に基づいて継続的に啓発に取り組む。

  • 毎月定期便として不正防止に係る啓発メールを発信する。
  • 新規採用者に「公的研究費ハンドブック」、及びリーフレット「No!研究費の不正使用」「No!捏造・改ざん・盗用」を配付する。
  • 研究倫理教育の履修管理を行う。
研修・セミナー等 テーマ 対象者
研究倫理教育研修会(1) 適切な研究データ管理の実現のために 教職員・大学院生・学生
研究倫理教育研修会(2) 研究インテグリティの確保に向けて 教職員・大学院生・学生
臨床研究/医学系指針研究の利益相反に関する教育研修 臨床研究/医学系指針研究利益相反研修 教職員・学生
2023年人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針講習会 生命科学指針研究従事者
臨床研究・治験従事者 研究者養成研修会 臨床研究従事者
再生医療等従事者にかかる教育研修会
 
再生医療等従事者
ヒトES使用に関する教育研修 ES研究従事者
倫理審査委員会委員・事務教育(医学系指針2・第4・3対応) 倫理審査委員会委員・事務
臨床研究審査委員会委員教育 臨床研究審査委員会委員
認定再生医療等委員会教育研修会 特定認定再生医療等委員会委員
(2)電子申請化の推進

 利益相反マネジメントシステムの電子申請化を推進し、研究者の負担軽減を図るとともに倫理審査システムとの連携強化を行う。

  • 臨床研究/生命科学・人を対象とする医学系指針研究の利益相反自己申告を電子化し、審査の迅速化と申請負担の軽減を図る。
  • 年度継続研究の利益相反再審査に関しては倫理審査システムの定期報告で実施し、負担軽減を図る。
(3)ポリシーへの対応

 第3期までに構築した医学系指針研究、臨床研究の利益相反、組織的利益相反マネジメントに加え、教育における利益相反の対応、ご献体を用いたサージカルトレーニング(CST)や動物を用いたサージカルトレーニングに関する利益相反に関しても、ポリシーに対応した規則・規程等の改正を行い、適正にマネジメントする体制を構築する。

  • ご検体を用いたサージカルトレーニング(CST)について、令和4年度までに利益相反ポリシーを改訂し、利益相反審査体制を構築した。実際のサージカルトレーニングの体制に即し、規程類、書式類の改訂を行っていく。
(4)出資業務への対応

 今後の一般の国立大学法人に適用される出資範囲の改正を受け、対応する規則・規程等の改正を行い、組織的利益相反審査体制を確立し、適正なマネジメントを実施する。

  • 教育の利益相反に関しては、令和4年度より実施を行い、その結果を分析して課題を抽出し、令和5年度の課題として教育推進本部会議に報告する。
(5)全学的なコンプライアンス教育

 法令や学内規則の遵守、不正防止や情報管理、ハラスメント等に関する全学的なコンプライアンス教育の徹底を図る。

①全体
  • 新規採用職員全員から、法令及び本学規則等を遵守し、公費の不正使用を行わない旨の誓約書を徴収する(平成25年度から継続)。
  • 人事評価シートⅡに「コンプライアンス(法令遵守等)違反がないよう心掛けている」欄を設け、全教職員に確認する(平成25年度から継続)。
  • 個人情報保護の観点から、採用時だけでなく退職時にも誓約書を提出させる(平成28年3月31日付退職者から継続)。
  • 安全保障貿易管理教育及び「みなし輸出」における類型自己申告は、外国為替管理法上の遵守義務の周知の徹底である。また、法律ではなく条約対応となる生物多様性条約対応、ABS対応に関しても手続き体制の構築を行う。
  • 図書館が年間を通じて実施する文献検索講習会や講義、セミナーの中で、引用のルールや著作権順守について啓発していく。合わせて、ウェブサイトやメール等で適宜著作権に関する情報提供を行う。
研修・セミナー等 テーマ 対象者
令和5年度滋賀医科大学新規採用職員研修 医療事故防止、個人情保護、人権、職場の労働法等について 新規採用教職員(非常勤職員を含む)
新入職員基礎研修 各種ハラスメント、情報セキュリティ、個人情報保護 新規採用事務局職員
安全保障貿易管理研修 安全保障貿易管理研修 教職員・学生
②人権・ハラスメント
  • 新規採用職員全員及び入学生全員に「NO!ハラスメント」リーフレットを配布し、ハラスメントの防止及びハラスメント相談窓口の周知をはかる。(平成18年度から継続・令和4年度リーフレット全面改訂)
  • 他大学において発生した具体的なハラスメント事例について、毎月1回の定期便「ハラスメントのない環境を目指して」として全構成員にメール配信を行うとともに、同メールにおいては毎回、本学のハラスメント相談窓口についても案内する。
  • 新規採用職員全員及び入学生全員に、人権啓発資料「こころやわらかく(滋賀県)」を配布する。(令和5年度から)
  • 新規採用職員にハラスメント防止研修「ハラスメントのない滋賀医大を目指して」をe-learningによるオンライン形式で実施する。(令和5年度から)
  • 全学生・教職員を対象にセクシュアルハラスメントや性暴力等に関するアンケート調査を実施する。(令和5年度から)
研修・セミナー等 テーマ 対象者
ハラスメント防止研修会
「セクシュアルハラスメントと性暴力・性犯罪等防止研修」
ハラスメントの防止 全教職員
新任教員に対するFD研修 ハラスメントの防止 新規採用教員(令和4年5月1日~令和5年4月1日採用)
性犯罪と犯罪被害者支援について 性犯罪の防止 学部新入生
③教育
研修・セミナー等 テーマ 対象者
教育の利益相反に関する教育研修 教育利益相反研修 (注1) 教職員・学生

注1):「滋賀医科大学利益相反ポリシー」の3利益相反マネジメントの基本的な考え方(2)教育において、以下のように(定めており、主に営利企業等の教育への利害関係及び教育担当者と学習者の利害関係に関する内容を想定している。

  1. 大学における学部・大学院教育及び医療従事者教育としての教育は、その教育活動、評価を公平・公正に実施しなければならない。
  2. 教育活動の過程においても、付随的に生じうる利益相反を未然に防止し、生じた利益相反については影響を最小限にとどめるために、利益相反マネジメント体制を構築・整備する。
  3. 教育活動の過程において付随的に生じ得る利益相反とは、産学官連携に伴う利害の衝突及び、教育担当者と学習者(学生及び研修医等)、学習者となることを予定される者(入試選抜者、入職者等)とに生じる利害の衝突をいう。
  4. 教育活動の範囲については、学校教育における教育のみならず、医療従事者教育としての手術手技研修(CST)を含むが、手術手技研修における利益相反については産学官連携の利益相反として扱うものとする。
④研究
  • 研究インテグリティに関して、医学研究監理室内にアカデミアに関する法務グループを起ち上げ、具体的な対応を検討する。
⑤診療
  • 病院開設許可事項(部屋名称と使用用途)の内部調査を実施する。
  • 病院の管理運営体制等(法令適合等)に関する監査を実施する。
⑥会計
  • 取引業者に「研究費の不正使用等に係る再発防止のためのリーフレット」を配付し、本学における留意事項を説明し、同意の上、研究費に関して不正な取引をしない旨の「誓約書」を徴収する。(平成25年度から継続)
  • 財務会計システムの更新に伴い、会計データと会計伝票の不一致がある場合は支払いがストップする改ざん防止機能を導入することで不正防止を図る。
研修・セミナー等 テーマ 対象者
会計事務等に関する説明会 適正な経費の執行 教職員
⑦情報管理・情報セキュリティ
  • 情報セキュリティに関するリーフレット(電子版)については、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)において作成された「対策のしおり」を「情報セキュリティ対策資料」としてウェブサイトに掲載し、周知を図る。(平成25年度から継続)http://www.shiga-med.ac.jp/mmc/support/security/security/index.html
  • 情報セキュリティインシデント対策チーム(CSIRT)によるインシデント対応、情報セキュリティに関するeラーニングの実施を引き続き行う。(平成29年度から継続)http://www.shiga-med.ac.jp/csirt/
  • 文部科学省、JPCERT/CC等外部機関の情報を活用し、不正サイトへのアクセスを本学セキュリティ装置で未然に遮断する(令和元年度から継続)。
  • 文部科学省、JPCERT/CC等外部機関の情報を活用し、システムの脆弱性に係る情報等について注意喚起を行う。
  • 個人情報外部流出の抑止力とするため、診療実績データの検索履歴を監視し、取りまとめて報告する。
  • 病院職員向けに「個人情報漏えいを未然に防ぐために」と題し、注意喚起を促す情報の発信を行う。
  • 情報セキュリティ監査を実施する。
研修・セミナー等 テーマ 対象者
個人情報の保護に関する研修 今こそ知ろう!大学における個人情報保護 大学の教職員
特定個人情報の保護に関する研修 特定個人情報を取り扱う職員
法人文書管理研修 事務職員
病院情報システム・セキュリティ講習会 教職員
患者個人情報保護に関する研修会 個人情報保護 教職員
情報セキュリティに関するe-learning 情報倫理とセキュリティ 本学メールアカウント所有者(教職員・学生・名誉教授等)
情報セキュリティ講習会 教職員・学生

 

⑧安全衛生
  • 新規採用職員研修において、「研究用の向精神薬の管理について」と題した研修を実施し、取扱いに係る法令概要、保管・使用にあたっての届出、学内での登録手順、不要となった向精神薬の廃棄、保管・使用にあたっての注意点等を説明し、研究用向精神薬の取扱いの適正性の向上を図る。
⑨その他
  • 不正が発生する要因を分析し、不正が発生するリスクに対して重点的かつ機動的な監査(リスクアプローチ監査)を実施し、恒常的に組織的牽制機能の充実・強化を図る。

令和6(2024)年度コンプライアンスプログラム(行動計画)

(※今後掲載予定)

関係規程等