勢多だより
(2024年6月号)

新任教員の紹介

髙岡 一樹 教授/歯科口腔外科学講座

髙岡教授

2024年1月22日付けで歯科口腔外科学講座の教授を拝命いたしました、髙岡一樹と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

自己紹介

私は兵庫県出身で、大阪府の高槻高校を経て新潟大学歯学部に入学、同大学を1995年に卒業後、地元の兵庫医科大学病院歯科口腔外科に研修医として入局しました。これまで大阪府枚方市の星ヶ丘厚生年金病院(現:星ヶ丘医療センター)での2年間の勤務と海外の短期留学以外は、兵庫医科大学で口腔インプラント、顎骨骨髄炎を専門として臨床、教育、研究に研鑽を積んで参りました。


臨床・教育・研究の3本柱

私は恩師から臨床・教育・研究の3本柱を常に意識するように言われてきましたので、それが刷り込まれています。今後もこの3本柱を基盤とした医局運営を進めたいと考えています。臨床では、県内唯一の大学病院歯科口腔外科として、地域医療連携を重視し、安心・安全な治療を心がけていきます。教育では、口腔は摂食・嚥下や口腔衛生管理に関する多職種連携領域であることを意識して行っていきます。また、医局員にはリサーチマインドを持った口腔外科専門医を目指してもらいます。研究では、臨床研究だけではなく、私が専門としている骨代謝の基礎研究を開始する予定です。
私自身も精進して参りますので、ご指導、ご鞭撻を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

 

笠間 周 教授/臨床研究開発センター

笠間教授

2024年4月1日付けで臨床研究開発センターの教授兼センター長を拝命いたしました、笠間 周と申します。

臨床研究の発展のために

私が医師を目指したきっかけは、中学2年生(14歳)の時に椎間板ヘルニアを患い、手術を受けた経験からです。8カ月間の入院生活を余儀なくされましたが、多くの医療従事者の方々の支援により、無事に退院することができました。その経験から、私も他人を助ける医療者になりたいと強く思うようになり、群馬大学医学部に進学し、1996年に卒業いたしました。卒業後は循環器内科の臨床医として、外来診療や当直業務、救急対応などに携わり、心臓カテーテル治療やペースメーカーの植え込み術など、さまざまな症例を経験しながら研鑽を積みました。しかし、日々のルーチンワークに疑問を感じるようになり、臨床研究に興味を持ち実践を始めました。

長らく一般病院に勤務し、臨床研究を主導しておりましたが、主に観察研究が中心でした。そこで、侵襲・介入を伴う前向き研究を主導したいと考え、2014年に群馬大学の循環器内科に戻りましたが、折しも、その年に同大学医学部附属病院の腹腔鏡事故が発覚し、社会的に大きな問題となりました。これを機に、自分の研究を見つめなおし、客観的に臨床研究に携わろうと考え、2018年10月から奈良県立医科大学の臨床研究センターに赴任しました。特定臨床研究、医師主導治験、企業治験などの臨床研究を多く経験し、また、組織づくりや臨床研究中核病院を目指す取り組みにも参加させていただきました。


滋賀医科大学のために

現在、滋賀医科大学における特定臨床研究や医師主導治験の数は、残念ながら全国的にみて少数です。単に数(量)を増やすだけでなく、研究の質を向上させる必要があります。今後は、研究者や医療従事者が必要な支援を適切に受けられるよう体制を整えたいと考えております。そのために、研究者や医療従事者と密にコンタクトを取り、データ管理や解析支援、研究計画の助言をさせていただきながら、研究の推進および支援を行いたいと思います。また、倫理審査のプロセスを再評価し、より迅速かつ効率的な審査を行う方法を模索したいと考えております。同時に、審査の厳格さと公平性を確保することも重要であり、体制を強化する必要もあると判断します。
研究者や医療従事者に対して適切な教育を行い、倫理的観点および調査方法の適切性の理解を深めることで、結果的に滋賀医科大学の臨床研究の発展につながると考えております。

 

荒川 明子 准教授/皮膚科学講座

2024年4月1日付けで皮膚科学講座の准教授を拝命いたしました、荒川明子と申します。

専門は脱毛、乾癬、真菌の診療

京都大学医学部を卒業後、京都大学医学部附属病院皮膚科に入局しました。脱毛、乾癬、真菌の診療を専門としています。京都大学大学院では、再生と退縮をくりかえす毛包と分子生物学を学ぶため、理化学研究所で、前頭を誘導する分泌因子をスクリーニングで同定しました。もともと、T細胞による自己免疫病に興味があり、当初は、円形脱毛症の自己抗原をスクリーニングするためにドイツに渡ったのですが、技術的に難しく、その後、乾癬自己抗原を同定し、ミュンヘンから報告することができました。また、悪性腫瘍のチェックポイント阻害免疫療法が始まったころ、ニューヨークのがんセンターを見学し、医学研究が臨床を進化させるのを体感したことは、今でも研究のモチベーションとなっています。

臨床を進化させる研究を目指す

私は、研究だけでなく、臨床、教育にもつい熱くなってしまう方ですが、滋賀医科大学の教育体制は学生だけでなく、教職員に対してもしっかりしていて、助けていただいていると感じています。臨床を進化させる研究を目指して、研究と臨床、教育のスキルを磨きながら、しっかり滋賀の生活も楽しんでいきたいです。ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

上仁 数義 准教授/泌尿器科学講座

上仁教授

2024年2月1日付けで泌尿器科学講座の准教授を拝命いたしました、上仁数義と申します。
臨床では小児泌尿器疾患の外来および手術を、教育では小児泌尿器、性分化、漢方薬を担当しております。

小児泌尿器科学を専門的に

私は滋賀医科大学に11期生として入学し、学生時代はラグビー部に所属しておりました。 1991年に同大学を卒業、当講座に入局し、大学病院で研修後、関連病院で成人泌尿器科の研鑽を積みました。 その過程で小児泌尿器科学を専門的に学びたいとの思いが強くなり、大阪母子医療センターでご指導いただきました。2000年に帰学し、小児泌尿器科専門外来の開設許可を得て現在に至ります。

世界標準の治療を滋賀の子どもたちに

2011年にはSUMSプロジェクトに採択され、海外で学ぶ機会をいただきました。米国の小児病院(Mayo Clinic、Riley Children's Health Indiana University、Children’s Medical Center Dallas)でご教授いただいた世界的権威との交流は現在も続いており、日常の臨床に非常に役立っております。世界標準の治療を滋賀の子どもたちにとの思いで取り組んでおり、小児泌尿器腹腔鏡手術を含むほぼ全ての小児泌尿器科疾患に対応が可能です。適切な治療および経過観察を小児期から移行期を経て成人期まで継続することを目標にしており、非常にやりがいのある分野だと思います。
現在、小児泌尿器科を専門とする認定医の数は十分とは言えず、後進育成が責務だと考えます。微力ながら精進して参りますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

※SUMSプロジェクト2010-2015「次世代を担う人材育成と医療科学・技術の創出」

 

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