ナルディライジン低分子阻害剤の同定と、転写調節および炎症性関節炎に対する薬理作用

論文タイトル

Identification of a small-molecule inhibitor of nardilysin and its pharmacological effects on transcriptional regulation and inflammatory arthritis

掲載誌

Biochemical Pharmacology

DOI:10.1016/j.bcp.2026.118456

執筆者

Yasutaka Amano, Kiyoto Nishi, Hazuki Sano, Shinya Kawano, Satoshi Endo, Mikiko Ohno, Akio Shimizu, Shinya Ikeda, Yusuke Morita, Jiro Sakamoto, Yoshinori Hiraoka, Akira Ikari, Taku Kawasaki, Shinji Imai, Eiichiro Nishi
(太字は本学の関係者)

論文概要

 体内でタンパク質やペプチドを切断するタンパク分解酵素であるナルディライジン(NRDC)は、エネルギー代謝、細胞周期、免疫応答など、さまざまな生命現象に関わることが知られています。これまでの研究から、NRDCの量を減らしたり酵素の働きを抑えたりすることが炎症性疾患、がん、生活習慣病などの治療につながる可能性が示されてきました。そのため、NRDCの酵素活性を選択的に阻害する薬剤(低分子化合物)の開発が望まれていました。
 本研究では、NRDCの働きを蛍光によって検出する方法を独自に開発し、理化学研究所の協力のもと、33,305種類の化合物をスクリーニングしました。段階的な絞り込みの結果、NRDCを阻害する化合物「R5-1」を発見し、その酵素反応の阻害様式の解析や、NRDCとのドッキングシミュレーションも行いました。
 NRDCは、褐色脂肪組織(熱をつくりエネルギーを消費する脂肪組織)を活性化させるPGC-1αというタンパク質の働きを抑えたり、関節炎モデルマウスの関節炎を悪化させる方向に働くことが分かっています。そこで、R5-1を培養細胞やマウスに投与したところ、NRDCによるPGC-1αの抑制や関節炎の悪化がいずれも軽減することがわかり、R5-1によるNRDCの阻害が、関節リウマチなどの炎症性疾患をはじめ、NRDCが関与するさまざまな疾患の治療につながる可能性を示しました。

 本研究は、岐阜大学、岐阜薬科大学、京都大学、神戸学院大学との共同研究として行われました。

文責

薬理学講座 西 清人、西 英一郎